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そんな中、チームの抑えである末次が、不振に陥ってしまう。長身から、これでもかと言わんばかりに縦の角度をつけた速球と、落差あるフォークを武器に、チームの抑えとして、不安定ながら活躍していたが、秋の時点から
「あのフォームを変えない限り、本当の活躍はできない。いつか必ず俺に泣きついてくる」
そう断言し、春には強引にフォーム改造に着手。末次は腕を振れなくなり、登板する度にスコアブックは真っ赤な字で埋まった。
代役を務めるはずだった、セットアッパーのフィリップスも故障し、抑えがいなかった中、佐藤監督は記者会見で、なんと僕の名前を挙げた。
「抑えは緑川。あいつしかいないだろう」
正直最初は、リップサービスとしか思えなかった。事実、僕は前のシーズンでは、中継ぎとして八試合にしか登板しておらず、防御率四点台と不安定な投球を重ねていたからだ。
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