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球威、三振を取れる絶対的な決め球、制球力。一般的に、抑えに求められる条件は、この三つが上げられる。末次は、制球力こそ無いものの、球威と決め球という二つを満たした抑えだった。
だが、僕は球威も上背も無い右のサイドスローで、球種は少なくは無いが三振を取れるボールは無い。満たしている条件と言えば、制球力くらいのものだった。
しかし、佐藤監督が本当の意味での制球力の無い投手陣を嘆く中、僕の投球には味噌を付けずに、黙って見ていたのは知っていた。
オープン戦でも出番を貰えたが、それが信頼などとは夢にも思えなかった。
そんな僕が、佐藤監督と投手コーチから、正式に抑え転向を告げられ、開幕を迎える。
最初の登板は、開幕三連戦の最後の試合。九回裏に、七対六と一点差という状況での登板だった。
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