†15『恩師と共に』

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「たける、一つ目だな」 白衣を着たぼけたが歩み寄って来た。 「それとさっきからそこで隠れているのは熊の精霊さんのお友達かな?」 「クウラだベア!」 たけるとクウラはぼけたの示す先に目を向けた。 そこには人魚の姿をした女の子の精霊がいた。 「アネス!」 クウラは人魚の名前を呼ぶ。 アネスと呼ばれた人魚は 恥ずかしそうに出て来た。 その神秘的な人魚は浮遊していた。 「皆様、お初にお目にかかります。私の名前はアネス、古代語で人魚を意味します」 古代語でアネスは人魚、 そしてノイラント王国の王都、“レビアネス”は “神秘なる人魚” と言う名前である。 レビは神秘なるを意味する。 「これまた可愛い人魚だな」 ぼけたがニヤニヤと話す。 「先生、顔緩んでますよ」 「と、すまん失礼」 「貴方達の言い分は聞かせて頂きました。私も貴方達の意見に同意します。クウラがご迷惑をおかけしました」 と神秘的オーラを放つ人魚の精霊が頭を下げた。 「いえ、こちらもいきなりの訪問でしたので…」 たけるも頭を下げる。 「クウラったら私と初めて会った時、私を食べようとしたんですよ」 苦笑してクウラを見るアネス。 「懐かしいベアな」 微笑む熊と人魚の精霊。 「私も貴方達を信じます。どうかこれを受け取って下さい」 浮遊してたけるの目の前に現れた、青く輝くクリスタル、それは正しく… 水属性のパワーストーンであった。 ――!! 驚くたけるとぼけたを目に微笑むクウラとアネス。 「たける、受け取るベア」 たけるはゆっくりと前に浮遊する水属性のパワーストーンを手に取った。 たけるはぼけたと顔を合わせて微笑んだ。 現在取得したパワーストーンの数は二つ。 地図に書かれた残りは五つ、 あれ…“氷”がない。 自分のと合わせて九つのはず、 一体氷は… もしかしてあの男!! 城で会ったあの男が、氷のパワーストーンをすでに取得しているのか? だとしたらあの男は氷と魔属性…。 どうしてオレでなくてはならないんだろう? あの男は何を考えてオレにパワーストーンは九つと言いながら七つしか書かれていないこの地図をオレに渡したんだろう…?
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