†25『国を守る者』

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アンディ、テリウス、セイラの三人は潮風が吹き渡る月見ヶ丘に来ていた。 夜とは違い、昼間は様々な色が見え鮮やかだ。 丘の草花が風に揺れる。 「ねぇ…二人はあたしが居なくなったら、、どう思う?」 突然セイラが悲しみの表情を浮かべ空を見る。 ――!! アンディもテリウスも驚く。 「何言ってんだよ!?」 「セイラ?」 セイラは空からアンディとテリウスに振り向き視線を戻すとゆっくりと話し出した。 「あたしのパパはね…。 ウォーネスト帝国の軍人なんだ…」 セイラは地面を向き、涙を堪えて無理に笑う。 「″軍人だって!?″」 アンディとテリウスは声を合わせて驚く。 「そうなの…パパは軍人、今はパパじゃない敵の軍人…あたし一人ぼっちでぇッ…寂しかったッ…」 セイラの頬を涙が流れた。 「大丈夫、心配しないで」 テリウスが始めにそしてアンディも言葉を向けた。 「“俺達がついてる”」 セイラは目を閉じて最後の雫を落とすと目を開き、遠い海を見つめた。 「ごめんね、しんみりさせちゃって…思い出しちゃったんだ…ウォーネストの事を聞いてさ」 「ウォーネストが来てるのか?」 アンディが尋ねる。 セイラは静かに頷くと、 言葉を続けた。 「あたし達、親衛隊はこの国と国王陛下を守るのが役目なの、 何があっても、、 国王陛下を失っちゃいけないの…守らなくちゃ、 あたし達の、 大切な人を――。 でも、戦いは避けられない…。 もう、そこまで来てるのよ」 ――三人は草花揺れる丘に立ち吹き渡る潮風にそれぞれの想いを届けた。 戦場は目の前に迫る。 ここに第一次魔界大戦が、 ――始まる。
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