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病にかかったシルアを家族全員で安心させようとリュード一家とたける、すぐる、ぼけたで係り分担をして牧場作業に努めていた。
リュードの妻サラは部屋でシルアの看病に付き添っていた。またすぐるとぼけたは、ロニーに教わり鳥小屋の餌やりに行っていた。
たけるが牛小屋の掃除をしているとティーナがやって来た。
「…たける君だっけ?一緒に飲まない?」
たけるが振り向いて見ると手に牛乳を持った優しい茶色の髪をしたたけると同い年くらいの少女――ティーナが立っていた。
「あ、うん貰おうかな。オレはたける、宜しくね」
たけるは始め言葉に詰まったがにこりと答えた。
「あたしはティーナ、ティーナって呼んで。宜しくね」
と言ったティーナの優しい茶色の髪が外から入ってくる風になびいていた。
「宜しくティーナ」
「どうぞ」
たけるは手渡された牛乳を貰った。
「これってここの?」
たけるが牛乳瓶を見ながらティーナに問う。
「よくわかったね!あ、フタに書いてあるか!」
ティーナは笑顔が堪えなかった。
たけるはティーナにその後、ぼけたを追って来た話や学園の事を色々話した。ティーナは嬉しそうに聞いていた。
ティーナは牧場は広いからいつでも連絡が取れるようにとたけるとアドレスを交換した。
すると、なんだか馬小屋の方が騒がしい。
馬が鳴き興奮しているようだ。
「どうしたんだろ?」
ティーナが外に出て馬小屋の方を眺める。
たけるも外に出て見てみるとそこには王国の赤いマントを羽織った人が三人、リュードを取り囲んでいるではないか。
「リュードさん!」
ティーナが叫ぶ。
「あれは、紅…」
たけるがそう呟くとティーナが丘を駆け出した。
たけるはジェルトとの戦いで、一度紅を見ていたからすぐに分かった。
「ちょティーナ!」
たけるもティーナを追い掛ける。
リュードは抗議していた。
「政府は貧しい人々からすべてを奪い取ってそれが国のためだと言うのですか!!貴方がたのような人には貧しい民の気持ちなど分からないでしょう!!」
「ええい、黙れ黙れ!!」
「この牧場は渡しません!私の命にかえてでも!!」
リュードはかすれ声になりながらそう叫んでいた。
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