†10『身分と証』

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たけるとぼけたはソルフィアーナ駅から一つ前のアイシス駅へと列車で向かった。 水の都アイシス。この街には噴水広場や水を巧に演出した水のオブジェもあり、アイシスは水の都と呼ばれている。 なぜならアイシスは、昔、水に困った民が光りに誘われそこを掘ったところ、綺麗な泉が沸き上がったという。アイシスの至る所で井戸水が沸き、たちまち水に餓えていたアイシスの街が潤いで溢れた。 またアイシスは王国東部の港町で海も近い。 東には青々としたブルーロード海が広がっているのだ。 たけるとぼけたは三十分程かけてアイシス駅へと到着した。 ソルフィアーナから学園都市レムオルまで乗ると約三時間はかかってしまうのだ。隣のアイシスまでは三十分程と近い。 「着いたな」 ぼけたが列車を降りて言う。 「この街にある紅第六部隊の管理局を探しましょう」 たけるが今乗って来た列車を見送りそう言う。 「ああ、さっさと役目果たして飯にしよう」 ぼけたが珍しく真剣な顔で話している。 だけど一歩歩くとぼけたは振り返って、 「たける、あの人可愛いくないか?」 すぐに真っ直ぐな目線の的は女性に走った。 「はいはいそうですねー…そんなことより今はリュードさんです」 たけるは軽く流して話しを戻した。 「たく、たけるはひかるちゃんにしか興味ないのか?」 ぼけたが問う。 「にしかってなんですか!誤解されるようなこと言わないで下さいよ!」 「じゃあティーナちゃんが本命か!?」 「違います!!」 「まさか裁縫のミーナ先生狙いか!?」 「ぼけた先生の口縫って貰うように頼んでおきますね」 「やめい!可愛い子に口説けなくなるじゃないか!」 「どんだけの人口説くつもりですか!」 そんな会話がホームに居る人たちに聞かれていた。 視線を感じたけるとぼけたはふっと周りを見た。するとおばさんたちが目を反らした。 「こんなことやってる場合じゃないですよ!日が暮れるまでにリュードさんを助けましょう!」 「だな。行くか」 二人は駅を出てアイシスの街へと入って行った。
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