悪化

2/7
99人が本棚に入れています
本棚に追加
/73ページ
高2の夏だっただろうか あまりの痩せの早さにみんなから羨ましがられ、僕は嬉しくて仕方なかった 毎日楽しく学校に行っていた ところが… ある日の昼休み 水だけを飲みながらみんなで昼食をとっていると、顧問から呼び出された 部活の話かと思い、職員室に向かう 待っていた顧問は僕の顔を見るとすぐに、鞄からあるものを取り出した それは… 顧問の握り拳と同じくらい大きなおにぎり 顧問は言った 「最近急に痩せたな。ガタイが無いと負けるぞ?俺の奥さんに作らせてきたから食え。」 ニコニコと… まるで自分はいい教師であるという自己満足に溢れた顔をして …僕は言葉を失った “痩せろと言ったのは貴方でしょう? 僕は努力して痩せたのに…今度は否定するの?” 言いたいことはたくさんあった でも言えなかった 職員室で先生に口答えなんて出来ない 他の先生が見ている 「いい生徒」である僕が、反抗なんてする筈がないんだから 僕は笑顔で受け取り、早々に立ち去った あの時の顧問の笑顔は今でも忘れない 僕はトイレで泣きながら、おにぎりを握り潰した
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!