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高2の夏だっただろうか
あまりの痩せの早さにみんなから羨ましがられ、僕は嬉しくて仕方なかった
毎日楽しく学校に行っていた
ところが…
ある日の昼休み
水だけを飲みながらみんなで昼食をとっていると、顧問から呼び出された
部活の話かと思い、職員室に向かう
待っていた顧問は僕の顔を見るとすぐに、鞄からあるものを取り出した
それは…
顧問の握り拳と同じくらい大きなおにぎり
顧問は言った
「最近急に痩せたな。ガタイが無いと負けるぞ?俺の奥さんに作らせてきたから食え。」
ニコニコと…
まるで自分はいい教師であるという自己満足に溢れた顔をして
…僕は言葉を失った
“痩せろと言ったのは貴方でしょう?
僕は努力して痩せたのに…今度は否定するの?”
言いたいことはたくさんあった
でも言えなかった
職員室で先生に口答えなんて出来ない
他の先生が見ている
「いい生徒」である僕が、反抗なんてする筈がないんだから
僕は笑顔で受け取り、早々に立ち去った
あの時の顧問の笑顔は今でも忘れない
僕はトイレで泣きながら、おにぎりを握り潰した
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