第二章

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――― ―― ある日。 忙しなく動く人間たちに呑まれることなく、自分のペースでニコニコと歩いている男、津子野 李紅【つしや りく】という男が街のなかを歩いていた。 李紅は学校へ向かう道を歩いていたのだが、その途中で空の雲の間から、光の線が地上へ降った。 これが俗に言う《天使の梯子》という奴なのかと、少し立ち止まり空を見上げていたが、『いくら余裕を持って家を出たといっても、これでは遅れてしまう…』と思い、足を早めた。 と、その時に、李紅は頭に激痛が走り、その場にしゃがみ込んでしまった。 ―り………く……り…く………こっち………はや…………く…おいで………………李紅!― 李紅は気がつくと、吸い込まれるように路地裏の、この文明の発展しているさなかにあるとは思えないほどの、昔ながらの公園の入口の前に立っていた。
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