登校

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何か小さな物だった 手に乗れる小さな物 「石ころ?」 黄色がかった小さな石ころ。拾い上げ手にして、何度か触って見ても石ころは石ころのままだった 何故中年の男はこれを置いていったのだろう 中年の男が持ってきたのだから何かが起きるのかと期待して噛んでもみたが結局何も起こらない その時、僕ははっと思い出す 偉い人が言うには どんな物にも何かを伝えようとする意志と理由があるらしい。 僕がさっき食べたりんごにも 僕がさっきまでいた教室にも 僕がさっき別れた中年の男にも そして僕にも そこにそこがいる。いなければならない理由となるものが存在しうるらしい そしてこの石にも何かしらの意志がある 神様がそこにおいときたい意志がある そうその通りだ。ましてはあの中年の男が落としとっていった摩訶不思議なる小石 僕は石を制服のポケットに入れた その内ミラクルストーンと覚醒して僕を守ってくれるのかもしれないと いや想像の外の奇跡をもたらすのではとワクワク感を募らせながら 夢と希望を胸に溜め込み 僕は放課後駆け足でパチ屋に向かった。
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