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父はお国のために死んだのだと疎開先のお寺で聞きました。
弟はその時わんわんと泣き叫んでいました。
私は現実を受け入れることが出来ませんでした。
崩れ落ちて跡形も無くばらばらになった瓦礫の山。
遠くの方で闇夜を照らす煌々とした炎の紅。
この惨状を見て母は死んだと悟った弟はまたわんわんと泣いていました。
私の瞳からはやっぱり涙は出てきませんでした。
あるのはただ
-憎しみ-
私から父を奪った、母を奪った戦争への憎しみだけです。
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