.

2/3
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
「もう死のう…」 男は呟いた。その男の目には遥か足元にある車や人の群れを映し出されていた。 まるで人形の目のようだ。 男が足を一歩、踏み出そうとした時。男の耳に──否。頭に声が響いた。 【死んだ事もないのにか?】 男は吹き出す。 「ふふ…一度死んだら、もう一度。なんて…無いだろう?」 【そうか】 その声は男の意見に肯定も否定もしなかった。 ただ相槌を打ったみたいに聞こえた。 「もうサヨウナラだよ」 男はふと。この声ともう少し話したいと思った。だが遅い。 男の足はもう地には、ついていなかった。 【そうか】 その声は ただ相槌を打ったみたいに聞こえた。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!