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【武田海斗の視点】
バーのカウンター
俺はカクテルを片手に、隣の女がこぼす会社の愚痴に相づちを打つ
興味の持てないどうでもいい話だが、女の機嫌を損ねたくない。
せっかくナンパに成功した女、この女を逃すと、クリスマスイブを独りで過ごす羽目になる。それだけは是が非でも避けたかった。
(なさけねえ・・・)
風の冥府玉などという因果な玉を持ってるばかりに、俺の行動はT市によって制限され、恋人をつくる時間もない。よって、気が合うわけでもない女とこうして一緒にいなければならない。
「ねえ、知ってる?レインさんの都市伝説」
俺が退屈していることを感じたのか、女が話題をかえた。
この気の遣いよう、どうやら女も俺と同様、クリスマスイブの相手を逃したくないようだ。
俺は少し機嫌を良くし、問い返す
「レインさん?なんだ、そりゃ?」
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