貴方の傍に居たいだけ。

2/3
13人が本棚に入れています
本棚に追加
/45ページ
  愛おしい人。叶うならば、我が命尽きる迄お傍に。その願いが叶う日が、到頭。 「レオニール、俺を裏切るか」 怒りを露わにアキレス様が唸る。それは当然。私は今、忠誠を誓った国王を裏切り、想い人への愛に生きようとしている。 「…申し訳、有りません」 重い沈黙。しゃらりと聞き慣れた音に顔を上げれば、鈍く光を反射させる剣の切っ先。 「ネフィリムの色香に遣られたか」 彼の瞳は嫉妬の炎が渦巻いて、彼も亦、私と同じ様にネフィリム殿に恋い焦がれているのだと知る。 知らず浮かんだ薄い笑み、目の前の男の顔が歪む。 「ネフィリム殿をお慕いしております。我が力、愛おしい人を護る為に…」 忠誠を誓った男に背中を向け、足早に王座を後にする。扉一枚隔てた向こう側で、王の声が響いた。 .
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!