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僕たちは兎の足を縛り動けないようにして村に戻る。
昼時に出かけたのにもう空は青から茜色に変わっていた。
そして、村に戻り家に着いて、平太兄ちゃんがボロボロで崩れそうな玄関を開けた。
「ただいま。母さん帰ったよ。」
平太兄ちゃんがそう言うと、布団を被っていた母ちゃんが上体を起こす。
「あらお帰りなさい!怪我は無かったかい???」
母ちゃんは笑顔で出迎えてくれた。
「母ちゃん!!今日は兎を捕ってきたから鍋にしようよ!!」
僕は母ちゃんに喜んで貰いたくて満面の笑みで兎を見せた。
「まぁ!これは小助が捕ってきたのかい!?」
「うん!!そうだよ。」
「母ちゃん!!捕まえたのは小助だけど見つけたのは俺なんだよ!!」
二兵衛兄ちゃんもまけじと母ちゃんに自慢する。
平太兄ちゃんは何も言わず鍋の準備をしていた。
「そうだったのかい。皆頑張ったんだね。じゃあ鍋の準備をしなくちゃね。」
母さんが体を起こそうとすると平太兄ちゃんがもう鍋の準備を終わらせていた。
「母ちゃん。準備は俺がするから母ちゃんは休んでておくれ。」
こういう所は平太兄ちゃんには誰にもかなわない。
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