◆会

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次の日曜日。裕子は亜紀と亜紀の母親の病院に来ていた。裕子はいつも亜紀を連れてきても部屋まで行くのは躊躇われ、エントランスホールで時間を潰していた。 親子水入らずを邪魔してはいけない。決まりなどではないが、裕子が入ることが出来ない空間に感じたからだ。 休日の病院は通る人が疎らで閑散としている。見舞いに来た夫と腹の大きな妻が手を繋いで歩いている風景をぼんやりと眺める。 「私だって、里子より血の繋がった子供の方が……」 ぽつりと呟きかけて慌てて言葉を飲み込む。気分を変えるために自動販売機でお茶を買い口にする。
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