63人が本棚に入れています
本棚に追加
「……私はこの期に及んで何ていうことを…」
自分自身にため息をついているとエレベーターから亜紀が降りてきた。
「おかえり。買い物して帰ろ…」
裕子の言葉は途中で遮られた。亜紀が裕子のスカートを引っ張る。
「お母さんが…おばちゃんに会いたいって…連れてきてって…」
「な…何で…?」
わからないと首を傾げながらもスカートをぐいぐいと引っ張り、エレベーターに乗せて「4」のボタンを押す。
エレベーターは二人を乗せて目的階に止まる。引っ張られたまま裕子は迷うことなく一つの個室へとやって来た。その部屋のネームプレートには"真岡初代"と書かれている。
部屋に入ると真っ白なベッドに髪を一つに纏めた亜紀の母親が座っていた。
最初のコメントを投稿しよう!