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「亜紀ちゃん!ココアが入ったから一緒に飲まないかしら?」
リビングから二階に向けて声をかける。数分の時間が過ぎてから亜紀は降りてきた。手には茶色い封筒が握られていた。ソファーに座ると亜紀はそれを裕子に差し出した。
「亜紀ちゃんこれは…?」
中を開けるとそれは入院している亜紀の母親からの物であった。
『桐島様
この度は私の娘の亜紀を預かって下さると言うことで大変感謝しています。
亜紀は人見知りが激しい面があり桐島様の手を煩わせないかどうかが大変心配です。もし亜紀に至らない点がございましたら遠慮なく亜紀を叱ってあげて下さい。本来であれば母親である私が桐島様にそのような事をお願いするなど大変恥知らずで無責任な親と思われても致し方ないとは思っていますが、この体では亜紀の所に行くことも叶いません。
どうか亜紀をよろしくお願いします。
真岡初代』
手紙には病院の電話番号も同封されていた。
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