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この夫は子供が出来ないことをどう思っているのだろう。改めて考えてみると、一度も聞いたことはなかった。
付き合っている時も
結婚をする時も
里親になりたいと言った時も
一度たりとも聞いたことはない。それで満足なのかすら。
亜紀とは普通に学校の話をしたり一緒にテレビを見ているところからは子供が嫌いだという風には見えない。
「ねぇ、あなた…」
横を見ると夫はベッドに横になり既に寝息を立てていた。彼女は仕方ないわねと苦笑しながら布団をかけてやる。
その寝顔を見ていると夫は自分が考えているほど悩んでいる訳ではないのではないかと思えた。
その顔を眺めてから電気を消して裕子も眠りにつく。
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