◆黒

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それからしばらくたった日曜日。じめじめとした長梅雨により、外に遊びに行けず亜紀はリビングで工作の宿題をしていた。空き缶に紙粘土を付けて乾いたら色を付け、花立てを製作するらしい。絵の具を用意して真っ白な粘土に色をつける。 「…………」 黙々と作る姿は真剣そのものだが亜紀は決して器用とも絵心もあるとも言えなかった。歪な塊に様々な色を不規則に並べている。本人は何かを目指して描いているのだろうが本人以外に理解出来る人を探すのは難しい。 静かな室内に外の雨音が響く。
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