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嫉妬してしまうほど亜紀を気遣う気持ちが文面から読み取れた。裕子がどんなに望んでも得られない親子の絆がそこにはあった。
手紙をまた綺麗に折ると封筒に押し戻す。
「亜紀ちゃん、もしお母さんのお見舞いに行く時があったら行ってね?車で送るから」
死別しているわけではない以上、親兄弟に会うことを制限する事は禁止されている。兄弟はいないものの、母親はここからバスで三十分ほどある病院にいると聞いていた。まだ小学三年生ではそこまで一人で行かせるのには不安を感じる。それに裕子は手紙のお礼もしたかった。
「…………」
亜紀は無言で頷いたあと、ココアを飲み始める。
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