◆黒

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「それは……よくわからないけど、明日告別式でクラスのみんなと出席するから黒い服を着ていかなきゃダメよ?」 「こくべつしきって…?」 「亜美ちゃんにさようならを言いに行くことよ」 それからが大忙しだった。亜紀の持っている服の中で告別式にふさわしい服を探さなければならなかった。中学生になれば制服があるのだが小学生ではそうもいかない。 黒いプリーツスカートに白いブラウスを着せて黒いベストを着せると、とりあえず形にはなった。靴は紺のスニーカーがあったので後で埃を落としておかなくてはならない。子供なので告別式の服装であれこれと咎められることは無いだろうが、最低限失礼の無いようにはしたい。 亜紀は気が削がれたのかスカートにアイロンをかけている横で絵の具を片付けていく。 「……ひきこもりって病気なの?」 「え?……そうね…広い意味で言えば心の病気になるわね」 「……ふーん…」 そう呟きながら画材を部屋に片付けに行ってしまった。
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