赤頭の腕相撲

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半分嘘で、半分本当。 教室から校庭を見る時、幼馴染みである啓大はいつも一緒だった。 炎のことを話す時も、常に一緒。 けれど、私が炎と話したいと思っていたことはずっと内緒にしていた。 啓大は炎のことを良く思ってないから、話したいなんて言ったら啓大はきっと反対してしまう。 折角声をかけたんだ。私はとにかく何か話したくて、話題を探しながら口を開いた。 「ね、ねえ。炎は何で腕相撲が好きなの?」 「え…、何でそれを?」 「してるとこ何度も見てたからね。負け無しなのも知ってるよ!」 「あっ……は、恥ずかしいな……」 照れる彼は本当に人間みたいで、さっきも思ったけど、ホント、妖怪とは思えない。 コロコロと変わる表情はかっこよかったり可愛かったりして、同年代の人間と変わりないのに。 「……炎」 「何だ?麻実」 あ、名前呼んでくれた。 「今日、話せてよかった。明日もお話ししてね」 「…………ああ」 *** 「―――覚えてるか?」 「朝の挨拶も無しにそれ?」 通学途中の交差点にて。 おはよう、と付け足すようにして朝の挨拶を口にした啓大は真剣な瞳で私を見ていた。 覚えてるか、と聞かれることなど一つしかない。 「炎のことなら、しっかりと覚えてるよ」 「炎?……あいつの名前か?」 「うん、私がつけた」 私の言葉を聞いた啓大が何とも形容し難い、難しい顔で私を見る。 そんなことしてどうする気だ、とでも言いたげな目だ。 昨日の放課後、私は赤頭に話しかけた。 前々から話しかけたかったんだけど、中々決心がつかなかったんだ。 藤火さんの「三日後に」って言葉が、彼へ声をかける決心をくれたと言っても、過言じゃない。 まさかあの人、この事を察してあんなことを言ったんだろうか。 (まさかね、流石にそれはないよね) 藤火さんはただの人間だって言ってたし、そんな超能力染みた力があってなるものか。 「あまり……深く関わるな」 啓大の真剣な声が、私に突き刺さる。 啓大なりに私を心配してくれてるんだっていうのは分かってたけど、私はその言葉に微かな苛立ちを感じてしまった。 関わるな。その言葉が頭の中で繰り返される。
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