赤頭の腕相撲

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「何で啓大にそんなこと言われなきゃいけないの?」 「だって、おかしいだろ。お前何考えてるんだ」 「……何って……、前から話したいと思ってたし……」 「相手が人間ならそれでいいさ。だがな、あいつは人間じゃないんだぞ?妖怪なんだぞ?」 「だから、何!」 「妖怪は人間とは違う!おかしい奴に関わるな!!」 パン。 気付いたら、啓大の頬を思いっきり叩いていた。 あ、と小さく声を漏らして焦るも遅し。 啓大は一瞬だけ怒気を含ませた表情を浮かべたけど、直ぐに、それを何か可哀想なものを見る表情に変えてさっさと歩いて行ってしまった。 (……何よ、何なの、今の顔) 言い返せずに叩いてしまったのは、啓大の言葉があまりにも正論だったからだ。 それは分かってるんだけど。 「私は……炎と話したかったから」 啓大が私を心配してるのは、痛い程伝わってる。 仮に炎が綺麗な女の妖怪だったとして。 啓大が私に黙って妖怪に話しかけたりしたら、私はきっと激怒するだろう。 おかしい、と。そう言ってなじるだろう。 言い訳みたいな呟きをもらしたところで、啓大は引き返してはこない。 「はあ……」 私は一つため息をつき、ゆっくりと通学路を歩き始めた。 *** 「炎!」 放課後、私は一目散に校庭へと向かった。 ちなみに今日の授業中、啓大はずっと私から目を反らしていた。 朝あんな事があったから話し辛いのは分かるけど、今まで喧嘩なんかしても直ぐに仲直りしてたから、ちょっと寂しい。 そんなことを考えながら炎に向かって手を振ったら、炎は笑顔を浮かべた後に不思議そうな顔で首を傾げた。 「……麻実、何かあったのか。元気ない」 「そう、かな。……啓大と喧嘩しちゃって」 「…………、そっか」
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