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それから一週間たった。
普通の高校なら、
「おっしゃぁぁぁ!友達と彼女つくるぜぇぇぇぇ!」
と思うのが普通だろう。
だが俺が通う、宮塚学園は中高一貫校である。
当然のこと同学年なら必ず一回は顔を見たことがあるため、そういった期待はゼロだ。
俺はいつもの下駄箱へ行き、靴を履き替え教室へ向かう。
2Fの階段を上っている時に不意に後ろから声がかかった。
「お、和人おはよ」
声をかけてきたのは同じクラスで一番仲の良い友人の土谷湊(つちや みなと♂)だった。
湊の特徴は身長170の金髪という普通すぎるところだろう。
あとは、基本的にバカってところと無駄に元気なところだろう。
「おはよじゃねーよ。朝からお前に話しかけられてるとこ見られたらまるで友達と思われるだろーが」
「…まるで僕が和人と友達じゃないみたいな言い方だね!」
「は?黙れよ(笑)いつから俺のダチになったんだよ」
「お前むちゃくちゃ性格わるいなオイ!」
いつも通りの会話。
高校に入ったくらいで急に変わることなんてあるわけない。
俺は心の中で少しだけホッとした。
「話し変わるけど、美香ちゃんと最近どーよ?」
「お前な・・・俺の髪みて分からないのか?」
俺はそういって自分の髪を指差した。
美香とは俺が一週間前まで付き合ってた彼女の名前だ。
俺は一週間前に美香と別れた。
中一の時に美香と出会い、毎日話をして、そして俺が告白った。
あまり思い出したくない記憶だ。
ちょうど一年前ごろから俺と美香の関係はギクシャクし始めた。
そして俺らは一度、距離を置くことにした。
その際俺は髪を茶髪に染めた。
そして髪をもとの黒に染めなおした時にもう一度やり直すと美香と約束した。
湊は意味のないことだとか言ったが、俺には俺なりの覚悟があった。
「あーなるほどな、だったら新しい恋でもしたら?僕はもう今からウハウハだよ!」
「…お前はバカでいいな」
「どこかに可愛い子いないかなぁ~」
聞いちゃいなかった。
そういって窓から顔を出していた。
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