11人が本棚に入れています
本棚に追加
/113ページ
その後は、先生のつまらねぇ話を聞いて解散。
俺はあの桜のところへ行きたかったから湊は先に帰らせた。
あそこへは一人で行くと決めている。
下校の生徒にまぎれて移動したが、桜のある校舎の裏に近づくと生徒は誰一人としていなかった。
目的の桜の場所へ着く。
ここに来るとなぜか落ち着く。
この桜は少し美香に似ているのかもしれない。
アイツと離れて少しはアイツのことが恋しくなるかと思ったが、そんな感情は無かった。
もしかするとアイツと一緒にいたかったが恋人としているのは距離が近すぎて辛かったのかもしれない。
そんなことを考えられるようになったのはこの桜のおかげかもしれない。
近づきたいけど近づけない。
それがどれだけ切ないのか。
それがどれだけ心苦しいか。
そんなことを教えてくれたのは美香だ。
それは美香に対する愛情とは別のものだった。
俺はこの茶色はいつか黒に染まるときは来るのだろうか。
今の俺には分からないが、なぜか来ないような気がする。
最初のコメントを投稿しよう!