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俯いてるあたしの頭を、ふわっとレイちゃんが撫でてくれた。
「緊張しなくていいから」
その優しい声に、顔を上げる勇気を貰う。
おずおずと顔を上げた。
「なんで泣きそうな顔してんの」
クスリとレイちゃんが微笑みながら言った。
「だって……心臓止まっちゃいそう……」
レイちゃんの手が、頭から頬に降りてきた。
親指でそっと撫でられる感触が気持ちいい。
思わず目をつぶる。
ゴトンゴトンと小さな音をたてて回る観覧車のゴンドラの中で、幸福感に包まれる。
「レイちゃんの匂い……安心する」
「安心って褒め言葉じゃないよ」
目を開けると、レイちゃんの顔がすぐ近くにあった。
「こんな状況で安心されると、俺も困るんだけどな」
レイちゃんの指が、頬から唇に動く。
瞳はずっとあたしを見つめてる。
あたしは緊張しすぎて喉がカラカラになってきた。
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