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「昨日さ……」
「う、うん」
「ソウがワカにキスしたって聞いて、一日中仕事にならなかったよ」
「ご、ごめ……」
て謝るのも変かな?
もう頭が回らなくなってきた。
「演技してても頭の中でずっとそのことばっか考えてさ。監督に絞られた」
にこっと笑うレイちゃん。
あたしはバカみたいに固まってるだけ。
「俺って実はこんなに嫉妬深い男だったんだって初めて知った」
「レ、レイちゃ……」
「キスしていい?」
真剣な瞳でじっとレイちゃんはあたしを見ていた。
キス、シテ、イイ?
完璧に頭が真っ白になってしまって、黙って頷くしかできないあたし。
ギシッと古ぼけた観覧車の椅子を軋ませながら、レイちゃんとの距離が縮まる。
息をするのも忘れて、あたしは固まっていた。
そっとレイちゃんの唇が、あたしの頬に触れる。
あれ、頬……?
と一瞬思った後、唇に熱くて柔らかいレイちゃんの唇が覆い被さってきた。
その感触はとろけるようで。
死んでもいい……
と、心から思った。
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