1人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
気がついた時、俺は真っ暗闇の中に立っていた。
「……ここはどこだ?」
声は反響することなく闇に吸いこまれていった。
「気持ち悪りぃ…」
ここはどこで、どうして自分はここにいるのか。
俺は今まで何をしていたのか…?
親友の和也に殴られて、それから…?
『それから?』
「!誰だ!?」
どこからか声が聞こえた。
ぐるりと周りを見渡したが、人は見当たらなかった。
『「誰だ」だって…!』
『面白いね』
『面白い』
面白いという声や笑い声が四方八方から聞こえてくる。クスクスと笑われて…、いろんな声が…、周りには誰もいないのに……なぜ…?
『そう、誰もいない』
「誰もいないなら、なぜ君たちの声が聞こえるんだ!?」
俺は怒り口調になりながらも疑問をいるはずなのに姿の見えない相手にぶつけた。
『誰もいない』
『そう、あなた自身も』
帰って来た答えは自分の欲しい答えではなくて、更なる疑問だった。
「俺…自身、も?…どういうことだ?」
ただ分からなくて、答えを知っているだろう相手に聞いてみた。
『自分で考えずに直ぐに答えを求める』
『何て哀れな頭なんでしょう』
『哀れ』
『あわれ』
クスクスという笑い声が俺を包む。
.
最初のコメントを投稿しよう!