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「嫌だ!!俺は……違う…違うんだ…。俺は…!!」
『死んでいる』
「違う!俺は生きている!そうだ、生きているんだ!」
周りの声は俺が耳を塞いでも、頭の中で響くようにして伝わってくる。
俺が死んでいるなんて、悪い冗談に決まっている。
…否、本当は分かっているんだ。
しゃがみ込んだ感覚はあっても本当にそうできたとは思えない。
右も左も、上も下も、前も後ろすらも分からない。
俺は存在している。
でも“物体”という概念を超えてしまっている。
生きているとしたら、幽体離脱、だ。
俺は“点”として存在している。
そしてこの声の主も…。
そこまで思うといきなり視界が開けてきた。
目が光を、色を捉える。
不思議と眩しくはなかった。
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