32.告白は耳に痛い

11/19
496人が本棚に入れています
本棚に追加
/111ページ
 びくっと震えて萎縮した私を、困った顔で見下ろすイチロー。 「――ごめん。  怒鳴ったのは悪かった。  さっきも言ったように、今日は暴力をふるうつもりはないから、怯えないで。  だけど、アンタ普通の口調で喋ってたら、聞いてるようで聞いてないし――」  ああ、もう――と。  なんでも余裕のイチローにあるまじき、イライラした態度にハラハラした。 「だから、そんな風に受け身じゃダメなんだって。  自分から動いてよ、頼むから――。  俺とミユの違い、まだ気づかない?  俺は能動的に動いてんの。  ミユはいつだって受け身なの。  ――っていっても、自覚ない?  ミユはいつだって、人の目を気にして動いてる。  ――っていったら、心当たりある?」  怒りを、感情を飲み込むように肩で息をし、数歩下がって私と距離をとったイチローは探しながら選びながら、慎重に言葉を紡いでいる。
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!