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とある道、辺りには蝉の鳴き声が響き、夏特有の生暖かい風が吹いている
その道を一人の少年、瀬河 鳴海
(セガワ ナルミ)は歩いていた。
背は高いが少し細すぎる体つき、薄い茶色の髪、柔和な顔つき、
学校の制服を着ており、片方の手には通学用の鞄を、そしてもう片方の手には学校までの簡単な地図を持って歩いていた。
そんな鳴海はつい先日、この地に引っ越してきたばかりだった。
数週間前、ある出来事がきっかけで
『明日、ここから引っ越そう……』
家に帰った鳴海を出迎えたのは、父親のその言葉だった。
生まれてから中学までの十五年間、ずっと暮らしてきた町との突然の別れだったが、鳴海は受け入れた。
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