‡入学式‡

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瞳を閉じて頬を真っ赤にしながら来るべき時を待っているリタ 俺は一度深呼吸してから、彼女の肩に手を置きなおした …まさか1日でここまでいくとは… やっぱり運命だなんて思いながら、俺はリタの唇に自身のそれを重ね合わせようとした …ところで… ガララッ… 「っ!」 教室の扉が勢いよく開かれて、誰かが入ってくる音が聞こえる… 当然俺達は慌ててお互いの距離を離した …あ~あ…あと一歩だったってのに… 「ユ、ユーリ!?何故こんなところにいるんです?」 聞き覚えのある声に、教室に入ってきた人物へと目を向ける 「エステルじゃねぇか…お前こそ部活はどうしたんだよ」 やっぱエステルだったか… にしても、今こいつは部活中のはずだけど… 「ちょっと忘れ物を取りに…ユーリはなんでです?」 「あ?…いや、俺は…」 言えねぇ… 屋上行って捕まりかけたから逃げてきたなんて… どうしようかと悩んでいたら、隣のリタと視線が合った 「あれ?…そういえば、どちらさんです?」 俺と目をあわせている人物に気がついて、エステルは首を傾げる 「あぁ、こいつはリタっていって一年生の…「ユーリの友達です?」 …まだ話は終わってねぇって… 「いや、別にそんなんじゃ「うらやましいですユーリ!もう一年生に友達がいるだなんて…」 …だめだこりゃ… ため息をつく俺の隣で、状況がまだよく飲み込めずに眉をひそめるリタ そんな彼女に、エステルは小走りで近寄っていく 「な、何よ…」 「あ、あのっ!私エステルっていいます!良かったら、私とも友達になってくれませんか?」 目をキラキラさせながらリタの両手を掴んでいるエステルを見ていると、何故だか笑いが込み上げてくる 「えっ…あっ…う、うん…」 「あ、ありがとうございますっ!」 彼女の強引さにたじろぐリタ そしてその返事に大げさにお辞儀して喜ぶエステル… 「あっ!そう言えば、フレンが私を待っているんでした!」 はっとしてきびすを返すと、エステルは一礼して教室を出て行った 上機嫌なのか、鼻歌まで歌っているのがよく聞こえる 「ねぇ、あの子…」 「あぁ、エステルな…あんなんだけど、わりぃ奴じゃねぇから仲良くしてやってくれ」 「う、うん…それはいいんだけど…忘れ物ちゃんと取っていってた?あの子…」 「あ………」 …エステル…しっかり…
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