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「ふ~ん…」
「っ///…と、とにかく!今日はもう帰るからっ!」
慌ててくるりときびすを返すと、リタは教室の出口へとずんずん歩いていく
だが、最後の最後でピタリと歩みを止めて彼女は振り向かずに1つ質問してきた
「…明日も屋上行くの?」
「…多分な…」
こちらからリタの表情は伺えないけど、間違いなく今あいつの頬はゆるんでいるだろう
「…あ、あの…えっと…あ、あたしも…行くから…///」
「…はいはい…今度は誰かに見つかんなよ?」
「わ、分かってるわよ!」
ちらりと少しだけ振り向いたリタから、鋭く細められた瞳が俺を捉えた
「そんなに自信たっぷりなら…ほら」
そんな彼女を少しからかってみたくて、俺はある作戦を実行する
さてさて…うまくのってきたらおもしれぇんだが…
まず、リタの目の前に屋上の鍵を差し出す
「な、何よ…」
「だから、鍵はやるから明日は1人で行っていいぞ。どうせ俺は学校休むし、リタも1人が良いって言ってたろ?」
そう言って彼女の手に鍵を押し付けようとしたら、案の定…
両手を背中に隠しはじめた
慌てたような…それでいて照れてるような何とも言えないリタの表情はホントに可愛い…
だから…もっとからかってやりたくなってくる
「どうしたんだよ?遠慮するなって♪」
ニヤニヤと意地悪く笑う俺から視線を逸らし、リタは必死に言い訳を探しているようだった
「だ、ダメよっ!それは…あ、あんたが持ってなさい!あたしが職員室から盗んだ事になったらたまんないわ!」
「大丈夫だよ、誰にも見つからない自信あるんだろ?」
まだ手を引っ込めず、後ずさるリタに一歩一歩近づいていく
「そ、それに!あんただけズル休みなんてダメだからっ!ちゃんとその鍵もって明日も来なさいよねっ!」
…やれやれ…
とことん素直じゃねぇのな…
このままじゃ埒があかないし…
仕方ない…今日のところは俺が折れるか…
「…分かったよ…んじゃ、明日も屋上行くから…」
溜め息混じりに俺がそう言うと同時に、リタは安心したようにほっと胸をなでおろした
「わ、分かればいいのよ分かれば…」
早口でまくし立てると、彼女は教室の扉に手をかける
「じゃあ…ま、また明日…///」
ガララッ!
「あっ!おい!ちょ…」
一緒に帰ろうかと誘うつもりだったのに…
慌てて帰りやがって…
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