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しんと静まり返った教室に1人佇む俺…
だが、心の中はこの様子とは対照的にワクワクしていた
頭の中をかけ巡るのはリタの事ばかり…
…あんなにめんどくさがっていた学校が、今は楽しみで仕方ない
「…しょうがねぇ…俺も帰るか…」
彼女が開きっぱなしにしていた教室の扉の外に、俺は笑顔で一歩踏み出した
†††††††††
学校なんてつまらない…
あたしは小学生の時からずっとそう思っていた
自分で言うのも難だけど、あたしは常に周りより勉強が出来る
最初の方はすごいすごいと人が集まってきたものの、素っ気ない態度をとり続けていたら自然と近寄ってくる人物はいなくなっていた
それどころか、あたしの才能を妬んだり、影でひそひそ何か言っていたり、生意気だという奴まで出てくる始末…
あたしはそんなバカな奴らと関わるのが嫌で、今まで他人との接触を一切避けていたのだ
そんなんだったからか…
あたしはいつの間にか『変人モルディオ』というあだ名をつけられてしまった…
そんなあたしをずっと支えてくれていたのが姉である
両親はあたしが幼い時に事故で亡くなってしまった
だから、今は義理の姉と2人で暮らしている
姉は誰がなんと言おうといつもあたしの味方だった
そんな彼女をあたしは今でもすごく信頼してる
あたしがなんでも心を許して話せるのは姉だけ…
と…ついさっきまではそう思っていたのに…
「ユー…リ…」
あたしは下校途中、まだ明るい青空を見上げながら、少しの間足を止めて今日の出来事を思い返していた
高校に入っても友達なんていうものを作る気が全くなかったあたし…
だから、1人で読書でもしようと生徒立ち入り禁止の屋上にあがってみたら…
あいつがいたんだ…
無視していたあたしに、いとも容易く話しかけてきては、あたしの酷い反応に怒りの1つも見せずに自己紹介をはじめたあいつ…
あの時ユーリが浮かべた笑顔は今でも鮮明に思い出せる
屋上から逃げ出す時に協力してくれたあと、あたしは少しだけ思ったんだ…
(この人の側…なんだか暖かい…)
って…
早とちりかもしれない…
あいつもあたしの事もっと色々知ってしまったら、気味悪がって離れちゃうかもしれない…
だけど…
あの時はそんなのも気にならないほど嬉しかったんだ……
こんなあたしに声をかけてくれて、おまけに…
「………っ///」
あのままエステルが来なかったらどうなってたのかな?
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