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次の日…
俺は自分でも驚くほど早く起きてしまった
まだ黒い空の中から微かに差し込む日が淡く地面を照らしている
自室の大きな窓からその光景を眺めて、俺はむくりと上半身だけを起こした
そこまで広くはないが、さっぱりとしていて必要以上の物がない俺の部屋…
人間1人が生活するにはちょうど心地よい雰囲気だと思う
昨日はあの後夕食をとり風呂に入って俺はすぐに寝てしまった
多分いつもより数時間早く睡眠したはず…
「えっと…なんだ?まだ四時かよ…」
枕元に置いてある使い古した時計を手にとり時間を確認すると、いつもの起床じかんより四時間も早い事が判明した
チクチクと時を刻む秒針を目で追いながら、俺は二度寝しようかどうか悩む
まだちょっと眠いが…これで次起きたら昼過ぎ…とかだったら笑えねぇしな…
「しかたねぇ…」
そう時間をかけずに判断を下し、俺はゆっくりと立ち上がって机の上に置いてある携帯を手にとりながらリビングへと向かった
まだ薄暗い家の中に、自分の足音だけがくぐもって聞こえる
いつもは全くお目にかからない早朝の自宅が少し不気味だったが、俺はリビングのソファに腰をおろし暇つぶしに何をするか考えていた
そこでふと、まだ剣道部に所属していた頃の自分自身が脳裏をよぎる
そういえば、剣道部は毎日じゃないけど朝練があったな…
それもかなり朝早い時間帯から…
「部活…か…」
自分の選択した道を間違えているとは思わない
…だが
「…リタ…」
あいつもやっぱり入らないのか?
…俺が何もやってないから…
昨日リタがさりげなく漏らした言葉を思い出し、軽く笑みを浮かべる
だけど、やっぱり最終的には自分の意思で決めてもらいたい
そしてその結果がどうであれ、俺は文句を言わないでおこう
パカッ…
自室から持ってきていた携帯を開き、今の時間を確認する
4時45分
おいおい…リタの事考えてただけでこんな時間になってるとは…
幼少ラピードがドアップで待ち受けいっぱいを占領していたが、俺の目線は右上の時刻に釘付けだった
この調子なら、8時まであっというまかもしれない…
バタン…
携帯を閉じた俺は、ソファの背もたれに大きく寄りかかりリタのメアドを聞き出さなかった事を激しく後悔した
とはいえ、あんまり朝早くや夜遅くにメールや電話をしても迷惑かもしれないが…
「…今日聞いてみるか…」
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