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あたしが目を覚ますと、カーテンから薄明かりが差し込んでいた
寝転がったままでも手が届くそれを、ばっと開く
「っ…!」
予想外に明るかった外の景色に、眩しさで思わず目を細めてしまった
今は何時くらいなのだろうか…
枕の下からとりだした携帯を開き、時刻を確認する
「…まだ7時か…」
流石に学校へ行くには早すぎる
「学校…」
今までだったらめんどくさくてたまらなかった学校だが、今日は少し楽しみだ
何故なら…
「ユーリ…」
ポツリと口に出してみる彼の名前…
ぎゅっと携帯を握り締めながら、やっぱり勇気を出してメアドぐらい聞けば良かったと後悔する
「…あたし…あいつの事…どう思ってんだろ?」
家族以外でこんなに他人の事を考えたのははじめてかもしれない…
とにかく、こんな感情を抱いた人間はあいつがはじめてだから、あたしにはこれが友情なのか愛情なのか区別が出来なかった
どっちみちユーリを大切に思っている事は変わらないのだが…
「はぁ…」
枕に顔を沈めて、それについて悩み続ける
今まで友達という友達がいなかったために、この問題はやはりすぐには解決出来ないように思えた
でも、昨日の教室での出来事を考えると…
「友達ってだけじゃあんな事したくないよね…普通…」
今思い出しただけでもほんのり頬が熱を帯びる程恥ずかしかったあの瞬間…
「っ///…やめやめ!もう考えるのは止めよう!」
そうよ!
あれこれ考えなくても、普通にあいつと接して普通に楽しめればそれで良いじゃない!
自分の中でそう結論づける
なんだか納得いかないけど、今はこれで我慢する事にした
そのまましばらくベッドに横たわっていると、不意に良い匂いが鼻をつく
姉さんが朝食を作っているのかもしれない…
「ん?…そうだ!姉さんだったら…」
あたしのこの気持ちが分かるかもしれない!
昨日はちょっとからかわれちゃったけど、真剣に話せばきっと…
「よし…そうと決まれば早速相談ね…」
ガバッとベッドから起き上がり、あたしは寝癖がついてボサボサの髪の毛を揺らしながら一段飛ばしで階段を駆け降りた
「姉さん!」
「あら?リタおはよう。今日は早いのね?」
キッチンに行くと、やはり姉がいた
作りかけの朝食から視線を外しあたしに笑みを向ける
「おはよう…あの…ちょ、ちょっと相談があるんだけど…///」
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