部活騒動

6/27

301人が本棚に入れています
本棚に追加
/49ページ
この道はヴェスペリア学園に行くためにほとんどの生徒が使用している道だから、何人かの生徒が目の前を通り過ぎる 俺はその度に誰だか確認してたんだけど、いつまでたってもフレン達が来る気配がない …おかしいな… あいつらに限って遅刻なんてこたぁねぇはずなんだけど… 俺は自宅の壁に寄りかかり、腕を組みながら仕方なく今日の学校の予定を考えて時間をつぶす事にした 確か…今日は部活のオリエンテーションで…ん? 部活? …何かひっかかるな ……あっ! ばっ、と体を跳ね起こしながら慌てて走りだす フレン達が来ない理由が分かった! 今日は木曜日… 剣道部は朝練がある日なんだ! 「俺はバカか!…仮にも元剣道部だってのに…」 来るはずもない人物をぼけっーと待っていたなんて… おかげでだいぶ遅くなっちまった… 遅刻になんなきゃいいんだがな… さっきまであんなに歩いていたヴェスペリア学園の生徒も見あたらないし… …いや、でもまだ諦めるには早すぎだ… よし!あと一息…! 全速力で最後の一踏ん張りを走り抜こうとした俺だが… ドンッ! 「おっと!」 「っ!」 わき道から飛び出して来た誰かに勢いよく衝突してしまった 俺はふらつく程度で済んだけど、相手は尻餅をついてしまっている 「わりぃ、大丈夫か?」 制服からしてどうやら同じ学校の女子生徒のようだ ネクタイが赤いから… 一年生だな… 座り込む女の子に手を差し伸べると、キッと睨みつけるようにしてこちらを見上げてきた …あれ? てかこいつ…! 「リタか?」 いままで俯いていたから分からなかったが、この吸い込まれるような新緑の瞳… 間違いなく彼女だ… リタもぶつかった人物が俺だと分かったのか、サンドウィッチをくわえたまま不満気な表情を一変させて目を見開いた てゆうか… なんというベタな展開… 「ユ、ユーリ!?」 くわえていた物をのみこんで、リタはあたふたと慌てはじめる どうやら、今の姿を見られて恥ずかしいようだ よく見たら髪もボサボサだし、制服も乱れている 「おはよう…と、言いたいとこだが、今は学校にたどり着くのが先決だ。いいな?」 「あっ…ちょ!待ちなさいよ!」 早くも移動を続行するべく走りだした俺の後を、彼女が慌てて追いかける
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

301人が本棚に入れています
本棚に追加