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「うん!ボク、早くクラスの人の名前覚えたくて…それで、昨日の内に席の近い人だけ名前覚えたんだ」
彼は少し自慢気に人差し指をたてながら説明する
「…ふ~ん…そういうこと…」
そんなめんどくさい事して…
友達作るつもりなのかしら…
とりあえずこっちの疑問は解決したから、もう一度本に視線を落とす
大した反応を見せないあたしにそいつはどう対応しようか迷っているようだった
はぁ…
頼むからほうっておいてよ…
もうすぐSHRはじまりそうだし…
「なぁ、あんた」
「へっ?」
やっと読書に集中できてきた頃、となりの男子が別の男子に話しかけられるのが聞こえた
…ま、あたしには関係ないでしょ…
パラリとページを捲り、早く放課後になればいいのにと思いながら軽くため息をついた
「そこの女子だけど…あんま関わんない方がいいぜ?」
「えっ?どうして?」
…!
こいつら…まさか…
あたしの事話してる?
ちらりと横目で隣の様子を伺えば、先ほどのリーゼント少年に柄の悪そうな男子があたしを指さしながらなにやら呟いていた
…あいつは…確か…
「俺、中学あいつとおんなじだったんだけどよ…正直、仲良くなりたいとは思えない性格なんだよな…」
そうだ…思い出した…
あいつ…中学の時、あたしを変人呼ばわりしてきた奴の1人だ…
しかも、わざとあたしにも聞こえるように話してる…
「そ、そうなの?」
「そうそう。だから、もう話しかけたりしない方がいいぜ?」
っ…!
バカっぽい…
あたしになんの恨みがあるってのよ…
あ~やだやだ…
あたしは無視して本を読み進めていたけれど、隣ではなにやら異変が起きていた
「あ、あの~…この手は…何?」
「あ?変人の危険性を教えてやった謝礼をお前から受け取るんだよ」
…!
思わず隣に視線を走らせる
あのバカ…
まだそんなくだらない事で他人からお金をとろうとしてるのかしら…
「え…で、でも…」
「いいから寄越すんだよ!」
ガシッ!
あいつはリーゼント少年の肩に手を置いて早くしろと催促した
周りの生徒は恐がってか、見て見ぬフリを決め込んでいるようだし…
あぁ!ったく!ほんとめんどくさいわね!
ガタン!
「ちょっと、やめなさいよあんた!」
あたしが席を立って隣に向かって怒鳴ると、リーゼント少年は少し安心したような表情を見せた
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