301人が本棚に入れています
本棚に追加
俺の名前はユーリ・ローウェル
私立ヴェスペリア学園の高校二年生
進級が危ういと言われながらも何とか二年生になることが出来た
「まったく君は…どうしていつもそう…」
「はいはい悪かったよ…」
通学途中、隣で俺に話しかけてきたのは幼なじみのフレン
今日は新一年生の入学式…
めんどくさいからと俺がサボろうとしていたら、こいつは家の前まで来てインターホンをならしまくりやがった
因みに親は仕事の関係で殆ど家にいないため、いつも俺1人なのをフレンは知っている
だから迷惑は俺にしかかからないと承知のうえなのだ
うるささに耐えきれずに飛び出した俺の腕をつかみ、髪もぼさぼさのまま学校に引っ張られて…
話は冒頭に戻る
「あのさ…お前、俺が風邪ひいてるとか考えないわけ?」
「君が風邪をひくわけないだろう?」
「…………」
即答ですかフレンさん…
「ったく…めんどくせぇなぁ…」
晴れ渡る空に相反して、俺の心はどんより曇っていた
「君はまだそんな事を…エステリーゼは君が遅いから先に行ってしまったと言うのに…」
エステリーゼというのは俺達の幼なじみで、本名はエステルという
だが、何故かフレンだけはこのあだ名で呼んでいた
ま、何か特別な意味あいがあるのはバレバレなんだが…
「ほぅ…つまり、お前は愛しの『エステリーゼ』様と一緒に登校したかったと…」
「なっ!…な、何を言って…///」
ほらな…
昔っから、お前は素直すぎるんだよ
「そんなに一緒がいいなら、俺をほっといてエステルと行けば良かったじゃねぇか…」
「だから…さっきも言った通り、エステリーゼは先に行ってしまったんだ!君の家の前まで一緒に来ていたというのに…」
…?
わっかんねぇな…
だったら尚更俺を無視するべきだろう?
「で?肝心の何で俺に声をかけたのかがまだわかんねぇんだけど?」
「初っぱなからユーリが欠席するのを黙って見過ごす訳にはいかない」
は…?
…お前は俺の親かっての…
「良いだろ別に…そんなのは俺の勝手だ」
「良くない!だいたい君は「おお~!学校が見えてきたぞ!」
いつまでもうるさいフレンにいい加減うんざりしていたら、目の前には憎き学校…
だが、今は俺をこの場から逃げ出すキッカケを作ってくれた
とりあえず学校がそこまで遠くない事に感謝だな
「あっ!待てユーリ!」
一目散に駆け出し背後のフレンの声は無視する
最初のコメントを投稿しよう!