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だが、そこに水野はいなかった。
…だめだな、私完全に嫌われた。
まぁ…別に遊ぶ側にしたら、たくさん相手いるんだし、私の事なんかすぐ忘れるし…こんな事初めっから予想出来てたし…
だから、これでいいよね…
いつもの様に部活帰りの門は綺麗な夕焼けを反射させて目に飛び込んで来る。
それでも水野がいないという事だけで、すごく霞んで見えた。
少しその場に立ち尽くしていた私は、ようやく歩き始めた。
水野の事ばかりを考えてしまう。
「あ、もう家…」
迎えに来てくれた日の光景が過る。
「ただいま…」
一階には誰もいない。
静かに階段を上がり、涙をこらえながら自分の部屋のドアノブに手を掛ける。
『カチャ…』
顔を上げるとそこには
「…おかえり」
ドキッ!
「みっ…水野!!…何で…」
水野がドアの前にいた。
「話がある。ちょ座れよ」
ドク…
私は水野が座るソファの端にちょこんと座る。
「…話って、何…かな」
恐る恐る話し掛ける。
「分かってんだろ、昨日の事」
「……」
「なんであんな事言ったんだよ」
冷たい声にじわっと涙が浮かぶ。
「だから…水野の周りには、私よりずっと可愛い人が」
「っだから!その意味が分かんねぇんだよ!!」
水野は立ち上がり、声を上げた。
「だ…から…私と付き合うより、今日朝廊下で話してた人…と付き合う方がいいよ…私よりずっと可愛くて、綺麗な人だったも…」
「…つか、何でその事知ってる訳?」
「別にっ…見えただけ…!」
違う…本当は私が見てた…
「あいつは委員会の係が同じだから話してただけだ」
「でも、その人は嬉しそうだった…」
「おまえ…妬いてる?」
図星を突かれてカッとなる。
「っ…!そ、そうよ!妬いてるわよ!!…誰も水野に近付いて欲しくないの!!」
私はもう自棄になった。
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