第四話 水野と保健室

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「よぃっ…しょ!」 『ドサッ…』 「舞花…サンキュ…っ」 私は散らばった本を無視して少し苦しそうな水野に駆け寄る。 「大丈夫?水野…痛いとこない?私が治すから言って…!」 「ねんざか…左足がいてぇかも」 「ごめん…」 「舞花…いいって」 どうしよう…内出血…? 「私…本当は水野の事好きなのに…」 「なにそれ…反省してんの?」 怪我なんて…私が慌てたから… 「…水野の願い、叶えるから…何でも言ってみて」 そう言うと水野はニヤリと笑った。 「じゃあ…叶えてもらおうかな…」 ごく…っ 「…なに?」 水野に何かしてあげなきゃ…最悪な事した… それに…もっと水野に近付きたい。 水野は私の頬を撫でながら言う。 「キスして。口に」 ドキ…ッ 「え…」 私はその手をすっと引く。 「それが、今の願い」 「…っ」 「…じゃないと治らない」 「……」 「早く」 水野…こっち見てる… 私から…キス… ドキ…ドキ…ッ 「…~~っ」 「……」 私はゆっくりと近付いて、3秒くらい優しいキスをした。 「舞花…」 「…?」 「もっと激しくできねーの?」 呆れた様に私をからかう。 「っ…私…あんまり分かんないよ…」 「教える。こっち来て」 私はそっと水野に寄り添った。 「するの…?」 「俺が誘導するから」 「…ん」 私は水野にキスをしようと顔を近付けた。 その瞬間。 「……っ…」 「ぁ…みず…っ」 「…ん……」 舌が絡み合う。 なに…これ…っ 「…んんっ……」 「…我慢して…」 「んっ…はっ……」 もう駄目…息出来ないっ!! 「……はぁ…」 「……っ…はぁ…はぁっ…」 一気に解放され肩で息をする私。 「で、どうだった?」 「…すご…い」 「満足した?」 私は静かに頷いた。 水野ともっと近くなれた気がする…熱くて、激しくて… 私は新しい経験をした。 恩返しになってない気もするけど…嬉しかった。
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