第三話 水野の噂

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―保健体育― 「おーい、舞花ー!」 水野が教室の窓から運動場にいる私に向かって手を振ってる。私は作り笑いで返した。 水野は、もしかしたら私をからかってるだけかもしれない…そう思うと、水野が信用できなかった。 私は鈴花みたいに可愛くもないし、美沙みたいに彼氏が出来た事もない。 だから、ただ遊んでるだけだったりするの…? 何故自分がこんなに水野の事ばかり考えているのかも分からない。 イライラした。 そんな私のタオルの中で、隠していた携帯が鳴った。 「水野からだ!」 <部活後でいいから、門で待ち合わせな> 「優しい…」 でも、なんとなく返信はしたくなかった。 そして部活後、ゆっくりゆっくり歩いた。 今は、水野に会いたくない。 それでも水野は門にいた。 「遅かったな、帰ろうぜ」 「…ん」 そんな曖昧な返事をして、無言で歩いた。 「なぁ、舞花」 水野は私の態度に気付いた様子。 「…なに?」 「……キスしていいか?」 「えっ…」 「いいだろ?」 私を覗き込む優しい目。 いばってるけど、本当は少し嬉しい。 でも、これ以上水野と触れちゃだめだ。 「だ…だめ」 「なんでだよ」 「…だって、水野の周りにはもっと可愛い子がたくさんいるから…」 「はぁ?」 「だから、だから私なんかどうでも良いじゃん…!からかわないでよ…」 目頭が熱くなって前がぼやける。 「もう…放っといてよ…!!!」 タッ 「ちょ、おい!!待てって…」 私はそのまま走った。 …もう水野とこんな風にはしていられないと決意をして。
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