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―保健体育―
「おーい、舞花ー!」
水野が教室の窓から運動場にいる私に向かって手を振ってる。私は作り笑いで返した。
水野は、もしかしたら私をからかってるだけかもしれない…そう思うと、水野が信用できなかった。
私は鈴花みたいに可愛くもないし、美沙みたいに彼氏が出来た事もない。
だから、ただ遊んでるだけだったりするの…?
何故自分がこんなに水野の事ばかり考えているのかも分からない。
イライラした。
そんな私のタオルの中で、隠していた携帯が鳴った。
「水野からだ!」
<部活後でいいから、門で待ち合わせな>
「優しい…」
でも、なんとなく返信はしたくなかった。
そして部活後、ゆっくりゆっくり歩いた。
今は、水野に会いたくない。
それでも水野は門にいた。
「遅かったな、帰ろうぜ」
「…ん」
そんな曖昧な返事をして、無言で歩いた。
「なぁ、舞花」
水野は私の態度に気付いた様子。
「…なに?」
「……キスしていいか?」
「えっ…」
「いいだろ?」
私を覗き込む優しい目。
いばってるけど、本当は少し嬉しい。
でも、これ以上水野と触れちゃだめだ。
「だ…だめ」
「なんでだよ」
「…だって、水野の周りにはもっと可愛い子がたくさんいるから…」
「はぁ?」
「だから、だから私なんかどうでも良いじゃん…!からかわないでよ…」
目頭が熱くなって前がぼやける。
「もう…放っといてよ…!!!」
タッ
「ちょ、おい!!待てって…」
私はそのまま走った。
…もう水野とこんな風にはしていられないと決意をして。
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