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『タッタッタッ…タッ…タッ…』
「はぁっ…はぁっ…」
走って家まで来るとなぜか寂しくなった。
私、水野の事が好きなのかもしれない。水野が気になって、胸が苦しくて…
「うっ…ひっく…分かんないよぅ…私、水野が……」
私は夜、布団にくるまって泣き続けた。
水野にあんな事を言ってしまった罪悪感と、キスしていいかと聞かれた時の…
あの温かな気持ちが深く交差していた。
―次の日―
『ガラガラッ』
「おはよ、舞花」
「ぁ…はよ…美沙…」
「何?どしたの?目赤いし、元気ない?」
「あ、そんな事ないよ!この通り大丈夫!!」
ガッツポーズをしてみせる。
「そっか…」
全然大丈夫じゃないよ。水野は迎えに来ないし、メールさえ…
「ふぅ…」
落ち込む私の目に、水野が映った。
廊下の窓から空を眺めている。
私は横目で見ていた。
水野…何考えてるんだろ…
あんな事言って、呆れたかな…
その時。
「あ!水野先輩~!!待ちましたかぁ??」
え…っ?
「あ…いや…」
…ドクッ
「じゃ行きましょ~♪」
誰?あの女!!まさか…
やっぱり噂は本当なの…?
「はぁ…」
水野…全然顔合わさない。いつもなら笑ってこっちを見てるのに。
はぁ…もう考えんの止めよ…
想いを抑え、笑顔で過ごした。
『キーンコーンカーンコーン』
「じゃーね舞花!」
「あ、また明日ね」
「…はぁ……」
何回目のため息なんだろう…
気が良くないけど、私も帰るとするか。
教室を出て、校門に向かった。
歩きながら私は少し、期待をしていた。
水野が…待ってくれている事を。
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