第三話 水野の噂

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『タッタッタッ…タッ…タッ…』 「はぁっ…はぁっ…」 走って家まで来るとなぜか寂しくなった。 私、水野の事が好きなのかもしれない。水野が気になって、胸が苦しくて… 「うっ…ひっく…分かんないよぅ…私、水野が……」 私は夜、布団にくるまって泣き続けた。 水野にあんな事を言ってしまった罪悪感と、キスしていいかと聞かれた時の… あの温かな気持ちが深く交差していた。 ―次の日― 『ガラガラッ』 「おはよ、舞花」 「ぁ…はよ…美沙…」 「何?どしたの?目赤いし、元気ない?」 「あ、そんな事ないよ!この通り大丈夫!!」 ガッツポーズをしてみせる。 「そっか…」 全然大丈夫じゃないよ。水野は迎えに来ないし、メールさえ… 「ふぅ…」 落ち込む私の目に、水野が映った。 廊下の窓から空を眺めている。 私は横目で見ていた。 水野…何考えてるんだろ… あんな事言って、呆れたかな… その時。 「あ!水野先輩~!!待ちましたかぁ??」 え…っ? 「あ…いや…」 …ドクッ 「じゃ行きましょ~♪」 誰?あの女!!まさか… やっぱり噂は本当なの…? 「はぁ…」 水野…全然顔合わさない。いつもなら笑ってこっちを見てるのに。 はぁ…もう考えんの止めよ… 想いを抑え、笑顔で過ごした。 『キーンコーンカーンコーン』 「じゃーね舞花!」 「あ、また明日ね」 「…はぁ……」 何回目のため息なんだろう… 気が良くないけど、私も帰るとするか。 教室を出て、校門に向かった。 歩きながら私は少し、期待をしていた。 水野が…待ってくれている事を。
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