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 朝焼けに映し出さた二つの影が、駐車場のアスファルトに長い尾を描き出している。建物の裏口から入るのも良いが、敢えてその建物を半周する形で歩を進める。朝の仕事始めくらいは堂々と、正面玄関から乗り込みたい。その間に煙草を一本、味わう事も出来る。逢坂 義之は徐に、ポケットから使い捨てのライターを取り出した。  隣を歩く相方は、缶コーヒーを口に運んでいる。 「お前さん、そのうちに胃をやられるぞ」と云う逢坂に対して、新堂 俊介は「何故ですか」と、然も不思議だとばかりの表情を向けて来る。
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