通夜

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「それは解りますけど……」  小久保 奈美枝、木ノ内 好子と訪ねた後、立花 亜果里から手渡された会員名簿に記載されている老人達の家を、一軒ずつ訪問している。  県警本部主導の捜査本部が立っていたなら、お得意のローラー作戦を用いて、この程度の人数に聴き込みを掛けるのは、大して時間の掛からない事だろう。  だが如何せん二人では、とても効率が悪い。それにも増して老人達を相手にしているものだから、彼らのゆっくりとした話し口調と、記憶を掘り起こす作業の遅さに、時間ばかりを消費し続けていた。 「さぁ、次に行くぞ」  陽は西にかなり傾き、夕暮れはそこまで迫っていた。
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