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刑事は口が堅いのが鉄則だ。相手は『市議の先生』としか、云ってはいない。それをあっさり名前を出してしまう事など、あってはならないのだ。逢坂は態度に表さないまでも、頭を抱えたくなった。
「その名前が出たって事はやはり、ただの病死じゃありませんね」
「いや~、やっぱり滝澤さんを騙し通すのは、無理かぁ」と新堂は云うと、口を大きく開けて笑っている。それに合わせるように滝澤も、高笑いだ。
滝澤はそのわざとらしい笑いを止めると、逢坂に向き直った。
「ねぇ、逢坂さん。僕は今夜、片岡にインタビューして来ます。その情報を渡しますから、あなた方が話せる範囲で結構ですので、リークしてくれませんか。市議選の最中じゃ、警察は手が出せないのでしょう」
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