訪問

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「浩ちゃん、このお宅で間違い無いの」 「一度、来た事あるから」  少女が「ご免下さい!」と言うのと同時に、奈美枝は悲鳴を上げていた。手にしたカレー鍋を廊下にぶち撒け、その場にへたりと腰を落とした。背後からバタバタと足音が近づく。そして『ドスン』と一人が、尻餅を突いた様だ。 「どうしました!」と少女が肩越しに声を掛けた。奈美枝は震える腕を懸命に伸ばし、和室を指差した。そこには胸から血を流す躯が一体、転がっていた。  辺りは一面、カレーの匂いに包まれていた。
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