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「生意気、云いやがって」
「いい子じゃないですか。私もあんな部下が、欲しいわ」
「松井……さんが欲しけりゃ、いつでも持っていっていいよ。」
未だに道子の事を『さん』付けで呼ぶ事に、些か抵抗がある逢坂だ。そんな逢坂を観て「ふふっ」と道子は、小さく笑っていた。
「いい匂いですね」と満面の笑みを浮かべながら、新堂がお盆にお絞りとグラスに入った水を持って来た。
その後ろに岡持ちを下げて、中華飯店の店員がついて来る。先日その店で食事をした際、汗をかきながらラーメンを作っていた男だ。
「ところで新堂よ、なんで松井さんを呼んだんだ」
「それは、御飯を食べてからにしましょう」と新堂は云うと、割り箸を誰よりも先に割ったのだった。
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