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「お分かりだと思いますが、村田さんは元来、蕎麦好きだという事ですね」
「その様です。皆さんも、知っていたみたいですね」
新堂はそう云うと握り拳を口許にあて、何かを考え込んでいる。
「叔父貴が好きな蕎麦を絶ったのには、理由があるんです」
知宏がおもむろに話し始めた。自分が収監されていた時に、長男が亡くなった時の話しを。
逢坂達はその話しが終わるまで、黙って聴いていた。
「なるほど」と口を開いたのは、新堂だった。新堂はこの部屋に飾られた『会員規定』の額縁を指し「これは貴方が作った物ですね」と云った。
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