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「いいもの」
亜香里はそれだけ云うと、脇道から商店街へと向かっている。浩也はその後ろ姿を眺めながら着いて歩くしかなかった。本当は並んで歩きたかったのに、夕暮れの買い物客で溢れかえる商店街がそれを許さなかった。
この商店街にあって異彩を放つこの店は、中、高生が喜びそうな小物を扱うファンシーショップ。亜香里はその店の中へと入った。
浩也は一瞬気が退けたが、下着売場ならいざ知らず小物を売っているだけなのだから、と亜香里の後を追った。
店内にはすでに五、六人のそれぞれ違った制服を身に纏った少女達が、品物を手に取っては戻すという作業を繰り返していた。彼女達は一瞬浩也に視線を寄越したが、その次には元の動作に戻っていた。
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